男女混声コーラスグループ、「FORESTA」と「コーロ」
男女混声コーラスグループ、「FORESTA」と「コーロ」
神戸市シルバーカレッジ学長 前田潔
毎週月曜日の午後8時からBS日テレで「こころの歌」という番組があります。見ておられる方もいるかと思いますが、私はこの番組をたまたまみつけました。1年ほど前、テレビを見ていて、リモコンをいろんなチャンネルに合わせていて見つけました。男女各7人くらいのチームで、番組の中ではいつも男性は三つ揃えの無地のスーツ、女性は裾の長いドレスを身にまとって、直立不動でマイクを口から大きく離して、前方少し上に視線を合わせて歌うグループです。わずかに笑みを浮かべることはあっても表情はほとんど変わりません。姿勢も体を軽く左右に動かすことはあっても大きく崩すこともありません。通常の歌番組に出てくる歌手とはまったくイメージが違いました。グループの名がFORESTAというのはあとで知りました。
番組の中で歌う楽曲は、古き良き日本の名曲となっています。戦前から戦後すぐくらいの時代の歌で、唱歌、童謡、歌謡曲などです。すべて日本語の歌です。番組中の次の曲の紹介などは簡単なナレーションだけです。ステージもシンプルなもので、飾りや看板はありません。伴奏もピアノ1台だけです。最初にその番組を見た時には、「なに、この番組⁈」という感じでしたが、その後は毎週欠かさず見ています。月曜日には8時前にテレビの前に座ってチャンネルを合わせるのが習慣になっています。
それまで私はこのグループを一度もテレビで見ていないし、楽曲を聞いたことがありませんでした。そこで「FORESTA」をネットに打ちこんで調べてみました。Wikipediaによると2003年に番組『BS日本・こころの歌』開始に当たり、番組オリジナルの混声コーラスグループとして結成されたとあります。昨年結成20年を迎えています。メンバー全員が音楽大学声楽学科卒業者でクラシックの声楽による発声と歌唱法で、童謡唱歌をはじめ、叙情歌、歌謡曲、洋楽、オールディーズ、そしてオペラと、ジャンルや世代を超えた幅広い楽曲をレパートリーとしているそうです。
なぜこのような番組が始まって、このようなグループが結成されたかについての説明をみつけることはできませんでした。想像すると、今までにない番組をこのようなグループで作ってみたいという意図があったのでしょう。もう20年続いているということは視聴者も少なくないのでしょう。通常の歌番組では、豪華な衣装、プロの方にメイクして頂いた歌手が、大きな身振りで歌っています。このグループは、あえてそれを拒否しているようにも見えます。もし、いままでこの番組を見たことがないのなら、一度チャンネルを合わせてみてください。
混声合唱のグループといえば、わがシルバーカレッジには「混声合唱団コーロKCS」があります。シルバーカレッジの中では最大の部員を誇るクラブです。昨年秋にはコンサートを大倉山の神戸文化ホールでひらき、私も聞かせていただきました。会場は満員の盛況でした。そのうまい、下手はわたしにはわかりませんが、みなさん緊張しながらも一生懸命に歌っておられました。練習も厳しいが、入部希望者も多いと聞いています。
長く厳しい練習をみんなで乗り切って、こぎつけたのが昨秋のコンサートでした。コンサートでは女性はドレス、男性はスーツで、会場には家族や友人を招いて日ごろの成果を聴いてもらいました。コンサートが終われば打ち上げが待っています。衣装を用意したり、コンサートの前には美容院で髪をセットしたりと費用は少しかかりますが、気にしていないと聞いています。
混声合唱団「コーロ」は歌唱力でFORESTAに及ぶべくもありませんが、部員の熱意は負けてはいないのではないでしょうか。この「コーロ」の活動の中に、わがシルバーカレッジのめざすところがあるように思いました。