今年6月初め、世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数による国別ランキングでは、日本は146カ国中118位で、男女格差が大きい国の一つとされています。先進工業国の中では断トツに最下位です。特に、政治分野と経済分野で男女格差が大きく、順位が低いことが指摘されています。政治や経済の分野というと国を動かしている分野です。この国は男性によって回っているということです。
私は高齢者の認知症や精神疾患を診る医師です。高齢で介護が必要となって介護サービスを利用するとき、ほとんどの場合、最初にケアマネージャーから「デイサービスに通いましょうか」と提案されます。デイサービスでは週に1~5日、車による送迎があって朝から夕方まで施設で過ごします。そこではいろんなプログラムが用意されていて退屈しないようにできています。
このデイサービスですが、患者さんに勧めると、女性ではそんなところにはいきたくないという方はわずかです。一方男性はほとんどの人が断ります。そんなところでおじいちゃんと呼ばれて年寄扱いされるのはいやや、というのです。そしてわしは家におるほうがいい、となり、自宅に閉じこもることになります。女性はほとんどが嫌がらずにデイサービスに通います。そこで気の合う友人を見つけて、「デイ(サービス)は楽しい、お昼もいただいてお風呂にも入れてもらえる」となります。女性はだれとでも会話が進み仲の良い友だちができ、デイに行くのが楽しみとなります。女性は社交性に富んでいます。
私はこの4月からKSCのバトミントンクラブに入れてもらいました。バトミントン部の練習に参加して気づいたことですが、女性が多く、その女性たちが生き生きとしていることです。技術的、体力的には男性にはかなわないところがありますが、女性が主導権をとって、女性同士きゃあきゃあ言いながら楽しんでいます。男性は静かで影が薄いのです。バトミントン部は女性によって回っています。ここでも女性の社交性、だれとでもすぐに仲良くなれるコミュニケーション能力を感じます。
わがKSCでは昨年度入学者は男性より女性が多く、今年度も同様でした。この傾向は今後も続くものと思われます。KSCの女性たちがその社交性、コミュニケーション能力でKSCを変えていくのではないかと期待し、その活躍を見守りたいと思います。